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2026年度 今年は共通テストが難化する可能性が高い理由
2026年度 今年は共通テストが難化する可能性が高い理由
2026年度大学入学共通テストは、新学習指導要領(新課程)適用から2年目を迎えます。2年目という時期に特有の構造的な要因により、共通テストの難易度が上昇(難化)する可能性が非常に高いと予測されます。
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1. 共通テスト新課程初年度(2025年度)に見られた「配慮」
1-1. 2025年度の共通テスト振り返り:初年度特有の「配慮」
2025年度は、高校教育が長年取り組んできた新課程に基づいた初めての共通テストであり、教育界全体が大きな注目を寄せていました。大学入試センター(NCUEE)は、新形式や新科目の導入による受験生や高校現場の混乱を避けるため、意図的に難易度の急激な上昇を避ける配慮戦略を取った可能性が高いと考えられます。
1-2. 新課程初年度の負担増と平均点の「高止まり」
新課程導入により、必修科目「情報Ⅰ」の追加、数学や国語の出題範囲の再編が行われ、特に理系受験生には学習範囲の拡大という大きな負担が生じました。新形式の導入という大きな変化があったにもかかわらず、出題形式や誘導の丁寧さによって平均点が一定以上に保たれたことを示しています。
この初年度の「高止まり」や「安定」は、教育現場の混乱を防ぐための出題であったと推測されます。しかし、選抜試験として機能するためには、受験生の能力差を明確に測定することが必要であり2026年度は選抜機能を発揮するために難易度を引き上げざるを得ない構造になっています。
2. 新課程初年度の主な変更点と学習負担増の構造
2-1. 試験構造の劇的な変化と情報処理量の増加
新課程の共通テストは、従来の知識偏重型試験からの脱却を目指し、以下の点で構造的な変化を遂げました。
- 科目構成の変更と「情報Ⅰ」の追加: 必須科目として「情報Ⅰ」が加わり、総学習範囲が拡大しました。
- 国語の変化: 近代以降の文章に加え、図表や資料を読み解く実用的な文章を含む大問が追加されました。
- 数学の変化: 数学ⅡBが数学ⅡBCとなり、統計的な推測や複素数平面など、実社会との関連を意識した出題(例:水槽の水草の量に関する対数関数の問題など)が増加しました。
2-2. 負担増の根源:知識から「情報活用能力」へのシフト
新しい共通テストが目指すのは、「主体的・対話的で深い学び」を通じて育成される、深い理解を伴った知識の質を問うことです これは、単に知識を暗記しているかどうかではなく、知識・技能を「活用」し、思考力・判断力・表現力等を発揮して解くことが求められる問題を重視するということです
この構造変化の最も大きな含意は、短時間で処理しなければならない「情報処理のスピードと応用力の要求」が高まったことです。言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力など、教科を横断的に活用する力が求められるため 受験生の実質的な学習負荷は増大しています。
3. なぜ2026年度共通テストは難化するのか?
3-1. 初年度の“易化”の反動と選抜機能の最適化
2025年度が移行期特有の配慮により、多くの受験生が比較的高い平均点を獲得し、得点分布が凝縮した場合、2026年度は選抜の公平性を保つための「難易度修正」が必須となります。
2025年度に英語リーディングが過去最低点から反動で平均点上昇を見せた点からも 大学入試センターが難易度を意図的にコントロールできる立場にあることを示しています。2026年度は、得点差を広げ、大学側が受験生を的確に区別できるようにするために、難易度を厳しくする方向へ調整される可能性が高いです。
選抜機能の最適化とは、単に平均点を下げることではなく、標準偏差(得点のばらつき)を適切な範囲に広げることを意味します。初年度の配慮が得点のばらつきを抑えた場合、2年目には難化を通じてこのばらつきを拡大することが目標となります。
3-2. 新課程2年目としての「本来水準」回帰のロジック
難化の最も大きな構造的要因は、「誘導の丁寧さ」の減少です。
2025年度の数学ⅡBCの分析では、新課程の内容が含まれていたにもかかわらず、「誘導が丁寧であった」「比較的解きやすい問題のセットであった」と評価されました この「丁寧な誘導」は、受験生が新しい形式に慣れるまでの過渡期に提供された、言わば「手助け」だったと考えられます。
しかし、新課程の本来の目的は、知識を応用し、思考力・判断力を自力で発揮させることです 丁寧な誘導は、この「自力で考える力」を測る目的に反するため、2年目以降は大幅に減少、あるいは撤廃される可能性が高いです。誘導がなくなると、受験生は解法を自力で発見し、複数の知識を統合しなければならなくなり、問題の難易度が構造的に上昇します。これにより、ある思考過程でミスを犯すと、その後の設問で連鎖的に失点するリスクが高まり、平均点低下に大きく寄与すると予想されます。
3-3. 出題範囲の拡大と試験時間・問題数の変化が学習負荷に与える影響
「情報Ⅰ」の導入に加え、他の科目でも実用的な資料や図表が増加したことで、解答時間内に処理しなければならない情報量が飛躍的に増えました。
特に「情報Ⅰ」は、単なる知識問題ではなく、プログラムの実行結果を予測したり、複雑なデータ分析の結果を論理的に解釈する能力を求めます これらの思考を要するプロセスは、従来のマークシート式の問題に比べて圧倒的に時間がかかります。
2026年度の難化は、問題の概念的な難しさよりも、「時間あたりの認知負荷の極大化」として現れる可能性が高いです。思考型の問題が増えることにより「時間切れ」で解答できない受験生が増え、これが平均点を押し下げる最大の要因となるでしょう。
3-4. 大学入試センターや主要予備校の方針・予測
大学入試センターは、新課程を通じて「基礎的な力の活用」や「教科等横断的な育成」を重視する高大接続改革を推進しています これは、2年目以降も、知識再生型テストへの逆戻りはありえないことを意味します。
また、大手予備校は、2025年度の平均点分析を踏まえ、2026年度の対策においては、「新課程の真の狙いを反映した、思考力の深度を問う問題」への対応を強く推奨する傾向が強まります。受験生全体の対策レベルが上がるにつれ、センター側も難易度を引き上げざるを得ない状況が生まれます。
4. 【科目別】難度上昇予測
4-1. 英語(リーディング・リスニング)
難化予測の根拠は、2025年度の易化傾向からの反動と、新課程が求める情報活用能力の測定です。長文中の情報量が増加する中で、必要な情報を素早く、かつ正確に処理する能力がこれまで以上に求められます。
対策: 対策すべきは、単なる速読ではなく、設問の意図を正確に捉え、長文中の必要な情報(図表含む)を識別し、不要な情報を切り捨てる「情報識別力」の訓練です。リスニングにおいても、多量の情報から要点を短時間で抽出する集中力が必要となります。
4-2. 数学(I A, II B C)
2025年度に確認された「丁寧な誘導」が削減されることが、難化の主因です 特に数学ⅡBCでは、統計的な推測など新しい単元について、定義を理解した上で、自力で解法を組み立てる力(論理構築力)が決定的に重要になります。
対策: 「なぜこの解法を使うのか」という背景にある原理や考え方を重視した学習が必要です。複雑な文章(シナリオ)から数理モデルを構築する訓練を徹底し、誘導がなくても論理的なプロセスを最後まで辿り切る力を養わなければ、連鎖失点のリスクが高まります。
4-3. 情報 I
2025年度が比較的穏当な出題であった場合、2026年度は新課程の理念に従い、思考力・判断力を試す複雑な出題にシフトします プログラミング分野では、より高度なアルゴリズムの理解やデバッグ(エラー発見)能力を問う問題の深度が増す可能性があります。
対策: 受験生間の習熟度にばらつきが大きいため、応用問題への対応力がそのまま得点差に直結します。プログラミング的思考力を養う演習に加え、データサイエンスにおける仮説検定の基礎や信頼区間の解釈 といった実務的な知識を、暗記ではなく活用できるレベルまで習得することが重要です。
4-4. 国語、理科・社会
国語の実用文(第5問)は定着し、資料や図表の比較・統合を要求する設問がさらに複雑化し、時間制約が最も厳しい科目の一つとなるでしょう。
理科・社会においても、単純な知識問題の比重は下がり続けます。2025年度に「難しかった」との声が多かった化学のように 実験結果の深い考察や、複数の社会現象を関連付けて論理的に説明する思考力を問う問題の比率が確実に増加します。
まとめ:難化の波を乗り越え、2026年入試を制するための準備
2026年度共通テストが難化する可能性が高い理由は、2025年度の「初年度配慮」が解除され、新課程が求める「深い思考力と情報活用能力」を厳密に問う本来の選抜水準へと回帰する、構造的な変化にあります。
受験生の皆さんは、単なる知識のインプットに時間をかけるのではなく、いかにその知識を「活用」し「アウトプット」するかに焦点を当てる戦略転換が必要です。
共通テストの難化は、従来の知識偏重型の受験生には厳しい壁となりますが、新課程の理念を理解し、思考力や情報活用能力を鍛え上げてきた受験生にとっては、ライバルに明確な差をつける絶好の機会となります。冷静なデータ分析に基づき、残された時間を最大限に活用した戦略的な学習を継続することが、2026年入試を成功させる鍵となるでしょう。
(akamon lab) 2025年12月 3日 19:55
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