HOME > akamon lab ブログ > 私立専願でも共通テストは受けるべきか?プロが本音で解説【共通テスト利用入試・国公立併願の判断基準】

akamon lab ブログ

< 志望校の「今」を知ろう!2025年11月以降開催・大学学園祭めぐり  |  一覧へ戻る

私立専願でも共通テストは受けるべきか?プロが本音で解説【共通テスト利用入試・国公立併願の判断基準】

私立専願でも共通テストは受けるべきか?プロが本音で解説【共通テスト利用入試・国公立併願の判断基準】

「私立専願だけど、共通テストは受けた方がいいの?」——毎年、多くの受験生と保護者から寄せられる相談です。結論から言うと、私立専願が固まっている受験生にとって、共通テストは“必須ではありません”。一方で、受けることでチャンスが広がるケースもあります。

ここでは、実務的な観点からメリット・デメリットを整理し、迷いを解消する判断基準をお伝えします。


① 共通テスト対策は特殊で時間がかかる【私立専願との相性を見極める】

  • 共通テストは特殊でそれ専用の対策が必要
    共通テストは、複数資料の統合読解・比較、グラフ・データ分析、設問誘導に沿った思考過程の確認など「思考・判断・表現」を測る項目が増えています。英語もリーディングとリスニングが同配点(一般に各100点)で、文章量・音声量ともに多い構成。私大一般の“大学別の出題傾向”に特化した問題とは別物として設計されています。

  • センター試験のように“軽い対策”では太刀打ちできない
    センター試験時代の「過去問を数年分やればOK」という感覚では、今の共通テストには対応しづらいのが実情。国語・数学の読解負荷やデータ処理、英語の聴解対応など、形式慣れと時間配分の練習に相応の演習量が必要です。加えて、2025年度実施からは新学習指導要領対応で「情報Ⅰ」が加わる予定で、負担はむしろ増えています。

  • 共通テスト利用入試はあまりオススメできない
    共通テストの得点は年ごとに平均点が動きやすく、大学ごとの換算方式(科目配点・重みづけ・標準化)もバラバラ。戦略が立てづらく、私大一般のように「過去問対策がダイレクトに効く」実感が得にくいのがネックです。私立専願なら、大学別の一般入試対策に時間を集中投下したほうが費用対効果は高いのが通例です。


② 共通テストは私立受験の対策になるから受けた方がいい?【費用対効果を現実的に評価】

  • ただの“試験慣れ”目的で丸二日使うのは、時間がもったいない
    共通テストは原則2日間。前後の調整日や移動・受験料まで含めれば、1月の貴重な直前期を大きく消費します。私大一般の過去問演習・弱点補強に充てたほうが、合格可能性への寄与が明確なことが多いです。

  • 私立専願が確定しているなら、無理に受けに行かない方が得策
    志望群が明確で、共通テストの点を使う出願戦略を採らないなら、体力・時間・資金の“投資先”としてリターンが薄め。精神的負荷も考慮すると、回避は十分合理的な選択です。

  • 多くの人が集まるため、直前期に体調を崩すリスクも
    会場は大人数。移動・長時間拘束・緊張など、体調管理上の負荷がかかります。1~2月の私大本番にピークを合わせたい専願勢には無視できないリスクです。

  • 文系と理系で違いはある?

    • 文系:私大文系は「大学別の英語・国語・選択科目の出題傾向(語彙・長文バランス、古漢比率、正誤・多義選択等)」にハマる対策が最重要。共通テストをやり込む“直接効果”は限定的になりやすいです。
    • 理系:共通テスト数学・理科の演習は、基礎処理スピードやデータ読解の底上げに一定の相乗効果があります。ただし誘導型の解法と、私大一般の難問・典型問題攻略とは別トレーニング。一般対策の核を崩さないことが前提です。

受けなくてよい人の目安 - 私立専願が固まり、共通テスト利用・併用で出願しない - 直前期は大学別の過去問対策で伸びている - 体調・メンタル管理を最優先したい

受ける価値がある人の目安 - 可能性のある国公立や私立の“併用方式”を視野に入れている - 模試で共通テスト型の得点が安定しており、活用余地がある - 将来の浪人可能性も見据え、形式慣れをしておきたい


③ 共通テストを受けるなら国公立も見据えたい【受験機会の最大化】

  • 国公立がてんでダメな場合は無理しない
    苦手科目が多い・必要科目数が多すぎる等、現実的に戦えないなら、無理に広げず私大一般一本化でOK。合格可能性の高い戦線に集中すべきです。

  • 理系は、余裕があるなら“チャンスのある国公立”も確認
    多くの理系は数学・理科の基盤学習が厚く、共通テストで必要となる文系科目(国語・地歴公民など)が二次試験ほど高難度ではないケースもあります。配点圧縮や選択の幅がある大学もあり、得点設計次第では狙い目が出てくることも。

  • 中には科目が少なく受けられる国公立もある
    一部で「共通テスト3~4科目型」「後期日程での科目絞り込み」「共通テスト重視型・個別軽量」などの方式が存在します。最新の入試要項で、必要科目・配点・ボーダーの傾向を必ず確認しましょう。

ポイント - 共通テストを受ける=確度の高い出願先が増える可能性
- 出願締切・方式(前期/後期/総合型)・配点を“現実ライン”で逆算
- 私大日程との併走で体力・移動計画も要検討


④ 私立専願の共通テスト利用入試は受けた方がいいのか【結論:基本は非推奨、併用型なら戦略的】

  • 共通テスト利用入試はあまりオススメできない
    年度ごとの平均点変動や大学の換算方式で“読みにくい”。過去問対策の蓄積が合否に直結しづらく、コスパ面で見劣りします。

  • 共通テスト利用で受かる大学は、多くの場合、一般でも合格できる
    目標点数が妥当なら、一般入試の過去問対策を積んだ方が合格率は上がりやすい。共通テスト利用だけで得られる“独自の合格”は、実際はそこまで多くありません。

  • 滑り止めの“滑り止め”にしかならない結果になりやすい
    受かっても志望度が低い、進学決定に結びつかない——というケースが目立ちます。出願料・手間に対するリターンが薄くなりがちです。

  • ただし、共通テストと一般入試を“併用”するタイプは活用価値あり
    例えば「共通テスト+個別科目で判定」「共通テストで科目免除・加点」「合否判定の一部に共通テストを組み込む」などの方式は、受かり方の幅が広がる分だけ合理的。共通テストを受けるなら、併用型の配点・優遇条件を戦略的に拾うのは有効です。

チェックすべき項目 - 方式(利用型/併用型/科目免除型)と配点の詳細 - 自分の得点特性(英語リスニングが強い等)が活きる換算か - 一般入試との勉強の重複度(無駄が出ないか) - 出願料・受験日の重なり・合格発表時期


⑤ まとめ【“受けない”選択も十分に正しい/浪人視野なら受験も一考】

  • 共通テストを受けない選択はあり?
    ありです。私立専願が固まっていて、大学別の一般入試対策に時間を全振りできるなら、見返りは大きい。直前期の限られた資源(時間・体力・費用)は、合格可能性を最大化するところに投下しましょう。

  • 浪人が視野に入っている場合は、来年につながるため共通テストを受けてもよい
    すべての受験生が受かった大学に必ず行くというわけではないと思います。もちろん浪人前提で考えている人は一人もいないと思いますが、有名私立に受からならければもう一年チャレンジするというのは自然なことです。本試験の“場数”としての経験値、時間配分の実戦データ、科目ごとの課題抽出は来年に効きます。体調やメンタルの負荷を織り込み、無理のない計画で挑むならメリットがあります。

最後に——入試方式や配点は毎年アップデートされます。必ず各大学の最新「学生募集要項」「入試方式一覧」「共通テスト利用・併用の配点表」を確認し、直近の模試データと照らして出願戦略を設計してください。私立専願でも「受けないと損」ではありません。あなたの志望と現状に合わせて、最短距離の戦い方を選びましょう。



< 志望校の「今」を知ろう!2025年11月以降開催・大学学園祭めぐり  |  一覧へ戻る

このページのトップへ