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首都圏から大学受験と地方から大学受験の違い -- データで読む"合格しやすさ"の実態

首都圏から大学受験と地方から大学受験の違い — データで読む“合格しやすさ”の実態

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はじめに

首都圏(例:東京・大阪)と地方(例:東北・四国)で「大学に合格しやすさ」はどれほど違うのか


都道府県別大学等進学率

高校卒業者の「大学等進学率(通教除く)」:令和5年度(都道府県別)
今回は都市の中心として東京と大阪、地方の例として東北、四国を取り上げています。
(下は抜粋。数値は文部科学省の学校基本調査をまとめた都道府県別表から。)

都道府県(例) 大学進学率(%)(令和5)
東京 72.7%.
大阪 67.5%.
宮城(東北・都市型) 55.2%
秋田(東北・地方) 47.5%
愛媛(四国) 56.2%
高知(四国) 56.0%

差の大きさ

  • 東京(72.7%)と秋田(47.5%)の差は 25.2ポイント。比で見ると東京の進学率は秋田の約1.53倍

  • 東京と宮城の差は 17.5ポイント(約1.32倍)

  • 大阪(67.5%)と秋田の差は 20.0ポイント(約1.42倍)

    定量的に見ても都市部と地方都市では大学の進学率に大きく差があるのがわかる。特に秋田県は進学率が低く地方ほど大学進学が一般的ではないことが読み取れる。

トップ大学・難関合格者の出身地分布

東京大などの難関大の合格者についても「首都圏(関東)出身者の割合が高い」傾向があります。近年の東京大学前期合格者の出身地割合では関東(1都6県)で6割強を占める年が続いている。これは「難関大合格者の地域的集中」を示す一つの指標です。

また、全国の高校別・都道府県別の東大合格者数等を集計した公開データでも、首都圏の一部高校や一部県に合格者が偏っていることが確認できます。
ただし東京大学は東京にある大学なので首都圏の出身者が多いのはある種当然ではあります。


なぜ地方と都市部で差が生まれるのか

1) 学習支援(塾・予備校)の「量」と「密度」

  • 学習塾・予備校の事業所数・従業者数・売上は東京都や大都市圏が突出しており、都市部ほど学習サービスの供給が厚いのが実態です。専門予備校、大手進学塾、個別指導塾の教室や講師が都市に集中しているため、物理的に高品質な受験指導を受けやすい環境にあります。

2) 家庭の学習投資(学習塾費等)の地域差

  • 文部科学省の「子どもの学習費調査」は、学校外活動(学習塾費など)や世帯の収入段階別状況を示しています。一般に都市部(または都市規模の大きな市)ほど学習塾利用や支出が多い傾向があり、家庭の経済力や支出行動の違いが影響します。文部科学省

3) 高偏差値高校・学習コミュニティの集中

  • 難関大学合格を多数出す高校(進学校)が都市部や首都圏に多く、それが地域の「学力の向上の要」になっています。そうした高校へ通うことで経験豊富な教師・進路指導・模試情報・受験文化にアクセスしやすくなります(高校別合格実績の公表からも確認されます)。

4) 家計・所得の地域差(教育投資の『余力』)

  • 都道府県別の所得(1人当たり県民所得など)には差があり、所得水準が高い地域では教育投資に回せる余裕があることが多いです。県民所得や世帯収入の差は、子どもの学習環境の差につながります。

5) 人材の移動(優秀な生徒および教師の“流入”)

  • 都市部の大学・塾・進学校は全国から受験生・教師・講師を引き寄せるため、都市の教育環境はさらに厚くなります。一方、地方では若年層や教員の流出が継続すると、供給側の弱体化につながります。

地方で合格が「相対的に難しく見える」もう一つの要因:母集団と進路選択の違い

  • 地方では「大学へ行かず地元で就職・専門学校進学を選ぶ割合」が高い地域もあります(進学率が低い=合格しにくい、ではなく進学志向の違いが部分的に影響)。統計では「卒業者に占める就職率」や「専門学校進学率」も見る必要があります。都道府県の“大学等進学率”は、文化的・経済的な進学志向の違いを反映している面もあります。


どのくらい「不利」なのか(まとめ的視点)

  • データ上は、東京と最も進学率の低い地方県(例:秋田)で25ポイント超の差がある。これは高校卒業者のうち大学へ進学する割合が「四分の一以上」差が付いていることを意味します(先述の数値参照)。

  • 難関大学の合格者分布を見ると、首都圏(とくに関東)出身者の割合が高く、難関大合格の“機会”は地理的に偏ります。


緩和・回避策(現実的に使える手段)

オンライン学習・予備校の活用

  • コロナ禍以降、オンライン授業・オンライン予備校が普及し、地方でも質の高い講義を受けられる機会は増えています。国(文部科学省)も遠隔・オンライン教育を推進する政策を打ち出しており、地方の学習格差緩和に一定の効果が期待されています

移住/都市部での学校選択(現実的だけどコスト高)

  • 地方生徒が都市圏の進学校・予備校に通う、または親子で移住するケースは一定数ありますが、経済的・家庭の事情の負担は大きいです。地域間の機会格差が家計の余裕で左右される側面がここに現れるといっていいでしょう。

地方自治体・国の支援(奨学金、遠隔支援、定着支援)

  • 地方自治体は奨学金・学習支援、オンライン講座の整備等を進めていますが、資源の差で対応の厚みは自治体ごとに異なります。国としては教育ICTやデジタル教材の整備を進める方針がありますがまだ一般化はされていない状況と言えるでしょう。


注意(調査の限界と読み方)

  1. “大学等進学率”は合格しやすさの一側面に過ぎない:進学率は「高校卒業者のうち進学した割合」であり、地域ごとの進学志向・地元就職の文化・専門学校志向などの影響も受けます。したがって「進学率=純粋な学力差」と断定するのは誤りです。

  2. 地域代表値のバラつき:県全体の数値は県内の都市部と過疎部を平均化した値です。県内でも都会の市と山間部で大きく違います。

  3. データの更新時期:今回使った「令和5年度(2023相当)の学校基本調査」「子どもの学習費調査」「経済センサス等」は直近の確定値/公表値を使用しています。

まとめ

  • 公的データを見れば、首都圏(東京・大阪)は高校卒業者の大学等進学率が高く、東北や四国の一部県とは大きな開き(=数十ポイントの差)がある。これは「合格しやすさ(機会)」に実質的な違いを生んでいます

  • 差の主因は、学習リソースの集中(塾・予備校・進学校)、家庭の教育投資、所得水準、優秀な生徒・講師の流れといった構造的な要素にあります。

  • akamon labではこうした地方の格差是正の一助になるためオンライン授業を展開して全国の生徒を指導しています。この取り組みはコロナ禍前から実施しておりakamon labではオンライン授業の受講生も多く難関大へ進学しています。


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