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【徹底比較】大学受験における国公立専願と私大併願「どれだけリスクが上がるか」を受験生と保護者向けに解説
【徹底比較】大学受験における国公立専願と私大併願 — 「どれだけリスクが上がるか」を受験生と保護者向けに解説
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結論
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私大を併願する受験生は“受験チャンスが分散”されるため、現実的に合格する確率が上がる。併願は“保険”として広く使われています。
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国公立専願は“失敗の代償が大きい”(共通テスト・二次での失敗が直接浪人につながりやすい)。浪人期間の費用・精神的負担を考えると、経済的・心理的リスクは高い傾向にあります。
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専願でも「模試成績が安定」「出願戦略が堅い」「当日対策が万全」であれば合理性はあるが、多くの受験生は私大併願で安全網を作る選択をしています(実際に併願者が多数)。
1. 「受験チャンス(=試行回数)」で生じる差
私大併願者
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私立大学は入試方式や日程が多様で、同一シーズン内に複数回“合否を勝負できる”機会を得やすい。共通テスト利用方式+独自方式などを組み合わせれば、1シーズンで複数の「当たりどころ」を持てます。試験範囲は当然ランダムなのでたまたま得意範囲が出た、苦手分野が多かったなどが起こります。そういったリスクを分散させることにもなります。
国公立専願者
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合否の分岐点が“共通テスト+大学の二次(記述)”に集中し、実質的に取り戻すチャンスが少ない(浪人を選べば別だが追加コストと負担が生じる)。そのため「一回の失敗」がダメージになりやすい。
合格を手にする確率は併願者の方が高い
私大併願者は「回数」で安全を作り、専願者は「一度の結果」に依存する。結果として同じ学力の集団でも、第一志望の合格を手にする確率は併願者の方が高くなる傾向があります。
2. 「試験形式・科目の多様性」で生じる差
私大併願者
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マーク式/記述/面接/小論文/英語外部試験利用など、方式が分散されている大学が多い。自身の得意科目を活かして合格を取りに行く戦術が可能です(例:英語が強ければ英語重視の私大を選ぶ等)。
国公立専願者
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共通テストと二次(大学ごとの記述)が中心で、科目や出題形式が比較的固定。不得意科目の重みが高ければ挽回が難しい。
戦略の選択肢
科目の幅や方式の多様性は「戦略の選択肢」を増やし、併願者は自分の得点パターンに合わせた受験スケジュールを組める。一方で専願は“得点補正”がしづらい。
3. 「費用と機会コスト」で生じる差
金銭コスト(おおまかな目安)
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私大併願:受験料・交通宿泊費等は増える(大学数に比例)。
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浪人(専願で失敗した場合は発生リスクがあがる):予備校費用だけで年間数十万〜100万円超という報告が多く、1年の浪人は家計・本人に大きな負担。
機会損失を招く
短期的には併願の方が受験費用は増えるが、専願で失敗して浪人した場合の費用(+時間的ロス・精神負担)は通常、併願で出費した額を上回り得る。家庭の資金力・リスク許容度によって合理解が変わるため、費用の比較は重要です。
実は金銭的なメリットもあまり少ない
国公立専願者の多くの理由として金銭的な余裕がないことから私立を受験しないという選択をしている家庭が多いはずだが国公立に受からなかったら就職という極端な例を除いては私立を併願したほうが結果として金銭的な損失も少なくなることが多い。もちろん受験料や入学金が必要になることは違いないが長期的にみて判断するようにしましょう。
4. 「歩留まり(実際に入学する割合)」による差(結果の読み替え)
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大規模私立大学の多くは、**受験者のうち相当数が国公立併願者であり、合格しても入学しない(歩留まりが低い)**傾向にあります。つまり私大側も“併願を前提”に合格者を出す設計になっている場合がある(募集計画や合格ラインの運用に影響)。(文部科学省もデータとして示している)
併願者の存在は私大側の合否運用にも影響を与え、結果的に併願を前提とした“合格の取り方”が成立している。
5. 「精神的・スケジュール上の差」
私大併願者
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試験日数が増える分、受験期間中の疲労は大きくなるが、合格の可能性が何重にもあることで心理的に安心感が得られる場合が多い。併願を多くした受験生は「どこかは通る可能性がある」と感じやすい。
国公立専願者
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失敗=浪人の可能性が高まるため、日常的なプレッシャー・不安が強くなりやすい。保護者のサポート(メンタルケア、体調管理、当日対策)への依存度が高まる。
6. 「実務的に生まれる差」:表で整理(受験結果に直結しやすい点を抜粋)
項目 | 私大併願者 | 国公立専願者 |
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合格チャンスの数 | 多い(方式×日程で分散)。 | 少ない(共通テスト+二次に依存)。 |
科目構成の柔軟性 | 高い(得意科目で勝負可)。 | 低い(科目固定・記述重視)。 |
当日トラブルの致命度 | 低め(別日程でリカバリ可能な場合あり)。 | 高め(失敗が直接浪人に)。 |
金銭負担(短期) | 高め(出願料・交通等) | 低め(出願数が少なければ) |
金銭負担(長期リスク) | 低め(合格→浪人回避が多ければ) | 高め(浪人になれば予備校費等で上昇)。 |
メンタル | 分散(合格可能性が複数) | 集中(全てを1本に賭けるため負荷大) |
7. 「差」を埋める/リスクを下げるための具体的対策(専願で行く場合のチェックリスト)
それでも国公立専願にするなら、以下は最低限やってください。これらは専願の**“致命度”**を下げる実務的な対策です。
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模試の複数年・直近回での判定を重視:A判定が継続して出ているか。偏差値のブレ幅を把握
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出願パターンを事前に複数用意:共通テストで想定スコアが出た場合の出願リストをすぐ決められるようにしておく。
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二次対策(大学別問題演習)を早期に開始:記述での失点を減らすために答案練習量を増やす。
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当日と直前の体調管理を徹底(睡眠・通学手段・食事)。大学ごとの特別措置ルールを確認。
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家庭での最悪シナリオ(浪人時の費用・メンタル支援)について家族で合意形成。浪人費用の試算をしておく。
8. 保護者へのアドバイス
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「専願=無謀」ではないが「リスクが高い」ことは明確。家庭の資金力、本人の成績の安定度、メンタル耐性を総合して判断すべきです。
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私大併願は“保険”であり、合理的な選択。併願をする際は「科目を合わせる」「受験料の減免制度(併願減額など)を活用する」等で負担を抑えられます。
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費用対効果を試算:受験料+宿泊費と、浪人1年分(予備校費+生活費)を比較して家族で判断することをおすすめします。
(akamon lab) 2025年9月24日 20:52
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