
文系大学受験生の皆さん、そして日々受験生を支えていらっしゃる保護者の皆様、こんにちは。
いよいよ入試本番が目前に迫ってきました。共通テストから私大入試、そして国公立二次試験へと続くこの時期は、これまでの努力が実を結ぶかどうかが決まる極めて重要なフェーズです。
教室で生徒たちを見ていると、実力は十分にあるのに、直前期の「過ごし方」や「最終調整の方向性」を少し誤っただけで、本番で力を発揮しきれないケースを残念ながら目にすることがあります。逆に、E判定からでも最後にグッと伸びる生徒は、この時期の行動に無駄がありません。
本記事では、文系受験生が陥りがちな「直前期のNG行動」を具体的に指摘し、それを回避して合格を勝ち取るための「やるべき行動」を詳細に解説します。焦燥感に駆られがちな今だからこそ、正しい羅針盤を持って最後の仕上げに向かいましょう。
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直前期に最も避けるべきマインドセット、それは「今から新しい知識を網羅しようとすること」です。
特に文系科目は暗記要素が強いため、「あれも覚えていない、これも忘れている」という不安から、これまで手をつけていなかった分厚い参考書や新しい問題集に手を出したくなる衝動に駆られます。しかし、これは典型的なNG行動です。
人間の脳は、新しい情報を定着させるのに一定の時間を要します。直前期に大量の新規情報を詰め込むと、これまで積み上げてきた基礎知識の整理がおろそかになり、本番での「ど忘れ」や「知識の混同」を招く原因となります。
【やるべき行動:知識の「メンテナンス」と「リペア」】 この時期に必要なのは、新規開拓ではなく「既存知識のメンテナンス(維持)」と「リペア(補修)」です。使い込んだ参考書やノートに戻り、「知っているはずなのに即答できなかった箇所」を徹底的に潰すことにエネルギーを注いでください。
「長文を読むのが怖い」「時間がかかる」という理由で、単語帳や文法問題集の周回だけに逃げてしまう生徒がいます。しかし、英語はスポーツと同じで、数日長文を読まないだけで、英文を処理するスピード(処理流暢性)や、文脈を把握する勘が驚くほど鈍化します。
単語の確認は隙間時間に行い、机に向かう時間は必ず長文に触れてください。
1. 初見問題の演習(週2〜3回): 本番形式で時間を計り、緊張感を維持する。
2. 既習長文の速読・音読(毎日): 過去に解いた長文を使い、一度精読した文章をリズムよく読み直す。これにより、英語の語順で理解する脳の回路を維持します。
3. 英作文の型確認: 難しい表現を覚えるのではなく、「使い慣れた表現」で確実に減点されない文章を書く練習に切り替えます。
「点数が安定しないから」と、直前になってYouTubeなどで紹介されている「裏ワザ的解法」や、これまでと全く違う読み方を試すのは非常に危険です。フォームを崩し、大崩れする原因になります。
現代文: 新しい文章を多読するよりも、過去問の解説を読み込み、「なぜその選択肢が正解で、他が不正解なのか」という論理のプロセス(根拠拾い)を再確認してください。特に「接続詞」や「指示語」への注目度を高め、客観的に読む姿勢を整えます。
古文・漢文: これらは文系科目の中でも即効性がある分野です。
* 古文: 助動詞の接続・意味、敬語の方向の最終確認。主語が省略された際の特定トレーニングを行います。
* 漢文: 句法の再確認は必須です。書き下し文のリズムを身体で覚えるまで音読を繰り返しましょう。
歴史科目などで、誰も解けないような難問対策として、細かい用語の暗記に時間を費やすのは非効率です。また、公民で時事ネタを表面的に暗記するだけでは、共通テストや難関大の正誤問題には太刀打ちできません。
難関大ほど、教科書の記述に基づいた深い理解を問います。
* 日本史・世界史: 年表を活用し、「同時代の出来事(ヨコ)」と「因果関係(タテ)」を整理します。資料集の写真や地図を眺めることで、視覚的な記憶を強化してください。
* 地理・公民: 統計データや制度の「背景・理由」を言語化できるようにします。「なぜこの地域でこの作物が取れるのか」「なぜこの法律ができたのか」を説明できる状態が理想です。論述問題がある場合は、知識の羅列ではなく「指定語句を使って論理をつなぐ」練習を繰り返します。
友人が使っている参考書が良く見えたり、書店で「直前対策」と書かれた本に目移りしたりするのは絶対にやめましょう。今から新しいレイアウトや解説の癖に慣れる時間は残されていません。
これまで一年間使い込んできた単語帳、文法書、通史のノート。これらを試験会場に持っていく「相棒」と決め、そこに載っていない情報は付箋で貼り付けるなどして情報を一元化します。「これだけやったんだ」という自信が、本番のメンタルを支えます。 資料集や地図帳に関しては、勉強の休憩がてらにパラパラと眺める習慣を直前まで続けてください。視覚情報は土壇場で大きな力を発揮します。
「合格点を超えたから安心」「全然足りないから絶望」という感情の起伏だけで過去問を終えてはいけません。過去問は実力診断ツールではなく、「大学との対話ツール」です。
小論文や面接で、ありきたりな定型文や、どこかのサイトから拾ってきた志望動機をそのまま話すことは避けましょう。面接官や採点者はプロです。借り物の言葉はすぐに見抜かれます。また、時事問題を浅い知識で無理やり引用するのも、掘り下げられた際に自滅するリスクがあります。
「今年は〇〇大が易化するらしい」「この単語帳では受からない」といったSNS上の無責任な書き込みに心を乱されてはいけません。個人の体験談は、あくまで「n=1」の事例に過ぎません。
情報は必ず「大学の公式サイト」や「大手予備校(河合塾、駿台など)の公式分析」から取得してください。出願倍率や平均点の変動などは、信頼できる機関のデータのみを参照します。 また、睡眠時間を削ることは、記憶の定着と精神の安定を著しく阻害します。試験は朝から行われます。朝型の生活リズムを死守することが、最強の直前対策です。
ここまで、直前期に避けるべきことと、やるべきことをお伝えしてきました。 文系の受験勉強は、最後まで知識が繋がり、深まっていくものです。「もう間に合わない」と諦める必要も、「もっとやらなきゃ」とパニックになる必要もありません。
今日紹介したやるべき行動の中から、自分に必要なものを一つずつ丁寧に実行してください。これまで積み重ねてきたペンだこや、使い込んだ参考書の汚れは、あなたを裏切りません。 焦らず最後の仕上げをしてください。