大学進学を目指す多くの受験生にとって、「MARCH(明治、青山学院、立教、中央、法政)」と「地方国公立大学」のどちらを志望すべきかという問いは、一度は考えることがあるでしょう。特に理系志望者にとっては、学費、研究環境、入試科目数などが進学先を左右する重要な要素となります。
この記事では、MARCHと地方国公立大学を「入試難易度」「学費」「学習環境」「将来性」「研究体制」の5つの観点から比較し、理系学生にとって最適な進路選択のヒントを提供します。
首都圏の国公立大学とMARCHを比べると国公立大学一択になってしまうので今回は地方というディスアドバンテージを与えることとします。
まず大きな違いとして挙げられるのは、入試で必要とされる科目数です。
地方国公立大学(理系):多くの場合、共通テストで5教科7科目以上を課されます(英語、数学、理科2科目、国語、社会1科目など)。これに加えて、大学独自の2次試験(記述式)が必要な場合がほとんどです。さらに情報科目が追加されさらに難易度は上昇傾向にあります。
MARCH(理系):私立大学のため、英語・数学・理科の3科目で受験できるケースが多く、試験形式もマーク式や一部記述式に限られます。
このように、科目数や試験方式の違いから、学習負担は地方であっても国公立の方が圧倒的に大きいと言えます。逆に言えば、MARCHは科目を絞って集中的に学習したい人にとっては効率的とも言えます。
MARCHの理系学部(例:明治大学理工学部、中央大学理工学部など)は、首都圏という立地や知名度から偏差値60前後〜65程度の高い競争率を誇ります。
**地方国公立大学(例:信州大学、静岡大学、山形大学など)**では、偏差値50後半〜60程度の大学が多く、共通テスト重視型や2次試験重視型など方式に幅があります。
結論としては、MARCHの理系学部と中堅の地方国公立大学は、難易度的にほぼ同レベルか、MARCHの方がやや難易度が高いケースもあります。ただし、MARCHは受験者が多く、倍率も高いため、科目数が少ないからといって油断はできません。
地方国公立と言っても47都道府県があるわけで偏差値も様々です。静岡や山梨など首都圏からも比較的アクセスしやすい大学は人気で難易度が高くなります。
九州、四国などの場合はMARCHより入りやすく首都圏近郊はMARCHより入りずらいというのが現実です。
国公立大学の最大の利点のひとつが、学費の安さです。
地方国公立大学:年間授業料は約54万円程度。入学金を含めた4年間の総費用は約250万円程度。
MARCH(理系):年間授業料は約150〜180万円。4年間で600〜750万円ほどかかるのが一般的です。
さらに、大学院進学を視野に入れる理系学生にとって、学費の差は生涯収支に大きく影響します。金銭面を重視する場合は、国公立の方が圧倒的に有利です。
地方国公立大学:ST比はおおよそ5〜10人に1人程度。教員の目が学生一人ひとりに届きやすい。
私立大学(MARCH含む):ST比は15〜30人程度になることが多く、マンツーマンの指導は受けづらい傾向にあります。
国からの助成金(科研費)においては、地方国立大学の方が私立よりも獲得金額が多い傾向にあります。研究費が潤沢な研究室ほど、最新の設備や材料が使用でき、研究活動に専念しやすくなります。
ただし、私立でも産学連携や独自資金を用いた研究開発に力を入れているケースもあり、一概に「私立=研究が弱い」とは言えません。
MARCHはすべて東京都心またはその近郊にキャンパスを持っているため、交通の便が非常に良く、アルバイトやインターン、就職活動において大きなアドバンテージがあります。
地方国公立大学は、多くが地方都市や郊外にキャンパスを持ちます。(というよりも地方なので全てですが)そのため、生活費や家賃が安く済む反面、首都圏での活動には距離のハンディがあります。
安く済むと言っても帰省や生活費を考えると実家からMARCHに通える距離の場合、地方国公立に行かせるほうがかえって金銭的な負担は多くなることもあります。
就職活動の実績という面では、やはり首都圏に立地するMARCHの方が企業との距離が近く、就活に有利になることが多いです。
MARCHは多くの企業の人事担当者にも知られており、OB・OGも多数活躍しています。
地方国公立大学も評価は高いものの、首都圏以外に拠点を持つ企業や研究職、地方公務員などとの相性が良い傾向があります。
特に理系の場合、「研究職・技術職」を希望するならば、大学院進学が前提になることも多く、その際の研究環境や指導体制も重要な評価ポイントになります。
都市部での生活や就職を重視したい
3科目に集中して受験勉強を進めたい
学費を支払う余裕がある、または奨学金制度を活用できる
経済的負担を抑えたい
教員との距離が近い、充実した研究環境を重視したい
将来的に大学院進学を考えている
進学先を決めるうえで大切なのは、「偏差値の高さ」や「ブランドイメージ」だけではありません。自分が将来やりたいこと、重視したい生活環境、経済的な制約など、多くの要素をバランスよく考慮することが大切です。
MARCHにも地方国公立にもそれぞれの良さがあり、一概に「こちらが上」と断言できるものではありません。ぜひ、オープンキャンパスや大学公式サイトで実際の雰囲気やカリキュラム、研究室の活動なども確認し、納得のいく進路選択を目指してください。